令和2年度 1学期終業式挨拶-高等学校長挨拶-

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 皆さんおはようございます。学校長の柴田です。本日で令和2年度の1学期を終了します。歴史に残るコロナ禍の中、生徒の皆さんも学校も様々な制約の中、我慢をしながらここまでたどり着くことができました。皆さんの協力に感謝します。よく頑張ってくれました。先生方も、皆さんへの授業配信や毎朝のオンラインミーティング、分割登校、分散登校の準備、バスの手配、教室などの消毒、毎日の検温、通常なら行わない過剰な業務を長期間実施してくれました。そのことは、皆さんにもお伝えしておきます。感謝の気持ちを持ってください。

 この期間、私は先生方に、生徒が登校できずつらい時期ではありますが、「転んでもただでは起きないでください」とお願いしていました。緊急事態の中でも何か学校として、教員として学び取る事があるはずと考えていました。 

 ここで、転んでもただでは起きないお話を一つ紹介しましょう。有名な話なので知っている人もいるかも知れません。

 アメリカに古くからある化学製品を開発・製造するある会社は、面白いルールをもっていました。それは「15%ルール」と呼ばれていました。従業員が勤務時間の15%を、日々の仕事にとらわれない活動にあてることを許すというものでした。新たな製品開発を促すための、大変面白い経営手法です。50年前、一人の研究員が強力な接着剤を開発中、たまたま非常に弱い接着剤をつくりだしてしまいました。当然失敗作としてお蔵入りになりました。しかしその5年後に、別の研究員が本に挟む栞に応用できないかと思いついたのです。それから5年間の歳月をかけ、研究開発、協働を重ね出来上がったのり付きの栞が、皆さんもよく知っている「ポスト・イット」です。その後全世界で爆発的に広まり、文房具としてなくてはならないものとなりました。その会社は90年も前にセロハンテープを世界で初めて開発した3Mという会社です。話を戻します。

 多くの先生方は、起き上がるに際し、オンライン授業の情報機器のスキルを身に着けてくれました。また、授業はオンラインでもできますが、逆に登校させなくてはできない授業とはどんな授業か、生徒たちを登校させるのは何のためかと、学校の存在価値を考えてくださいました。

 皆さん方はどうでしたか。臨時休業の間、何を考えていましたか。時間とお金をかけて学校に通う理由など考えてみましたか。その理由が一つでも二つでも自分なりに見つかれば、それが皆さんの起き上がった時の宝物になるはずです。今仲間と一緒にいられる時間がとても貴重な時間と感じられると思います。それが大事なのです。

 3年生の皆さん、暑い夏各自の進路を決める大切な時期です。教務と進路指導部の先生方は、皆さんに提供する新たな夏ゼミを準備万端整えていたのです。しかし今年は実施ができませんでした。先生方も大変残念に思っています。それでも皆さんは、自律した学習を続けて欲しいと思います。先生方は、これからも皆さんを全力でバックアップします。

 2年生の皆さんは、コロナの関係で海外研修旅行が中止となりました。残念です。教頭先生を中心に、何とか実施の可能性はないかと業者と協議を続けて参りました。しかしながら、まだまだ海外ではコロナが暴れまわっています。中止はやむを得ぬ判断と理解してください。

 1年生の皆さん、今年の新入生には入学式、運動会、そして文理祭と、例年の行事を例年どおり経験してもらう事がかないませんでした。それでも担任団の先生は、皆さんを迎え入れるために、万全の準備を重ねて来ました。スタートは遅れましたが、皆さんは文理ファミリーの一員です。仲間を作り連帯意識を育てて下さい。

 今年、夏休みは10日間ほどしかありません。それでも、どうぞ一息ついて下さい。是非、心と体を少しでもリフレッシュさせる時間にあててください。2学期、気分を入れ替えた清々しい皆さんに会えるのを楽しみにしています。コロナに留意し、元気で夏休みを過ごして下さい。

          以上

西武学園文理高等学校
校 長 柴田 誠