9月1日(水)より、2学期が始まりました。分散登校のため、始業式も校内放送での実施となりました。
以下に、校長の挨拶文を掲載いたします。
校長挨拶 全文
皆さんおはようございます。今回も緊急事態宣言下の始業式となりました。8月末の国内研修旅行は延期となりましたが、夏季ゼミや中学Global Challenge Projectの宿泊語学研修などに積極的に参加してくれました。大変嬉しく思います。
9月の中旬まで宣言が発出され、また延長の可能性もあります。このような事態のため、先生方と協議し、分散登校の実施と文理祭の延期を決定しました。準備をしてきた皆さんには、大変悔しく残念ですが、どうか冷静に理解し行動してもらいたいと思います。先生方も気持ちは同じです。
まだまだ、コロナ感染者は増えていきます。皆さんやご家族にも感染する可能性があります。そのときに皆さんに二つお願いしたい。一つ目、隠さない事、ご家族に体調の悪い方が出たら、すぐに学校に連絡して、登校しないこと。二つ目、差別しない事。感染したくて感染する人はいません。シュトラスリボンの精神をみんなで遵守しましょう。
今日は皆さんに、自動車の自動運転の話を紹介します。自動運転は、日本を含め世界中で、多くの自動車メーカーや、アップル、グーグルなどといったIT系企業までもが、事業化にむけて研究しています。今回は自家用車ではなくコミュニティバスの自動運転について紹介します。
実は、すでに日本でも実用化されている町があります。昨年の11月には茨城県西部の境町が、今年の3月には福井県の永平寺町、自動走行車両による運転を自治体として始めています。まだ、バスの運行性能はそんなに高くはなく、小型でスピードもそんなに出ません。どちらも人口2万人前後の小さな自治体です。では何故、そんな自治体が自動走行バスを取り入れたのでしょうか。そこには地域の特性がありました。まず、鉄道がない、鉄道の駅が少ない。住民は自動車に頼る生活ですが、高齢化が進み免許を返納して交通弱者が増えている。既存のバス会社やタクシー会社に増便を頼んでも、地方都市での経営維持が難しい。その為、将来的に人件費が掛からない、自走式の小型バスの導入を決断したのです。地方都市の方が先進的な動きが進んでいるのも、面白いですね。
実は、来年に向けて、もっと本格的な、大型の速度のでる自動運転バスの運行が開始される県があります。そこは、運転免許の所持率が全国一番です。1人当たりの乗用車の所有台数も日本で一番多いところです。群馬県の前橋市です。自家用車への依存が強く、高齢化を迎えている状況は前例とほぼ同じです。それに加え、もっと強い条件が揃っていました。それは、人材です。前橋市役所には未来創造部があり、総務省から出向している 松田圭太 氏がいました。中心人物です。また、地元群馬大学には自動運転研究の第一人者の 小木津武樹 准教授がいました。二人は連携し、NECにも協力を仰ぎ、産・学・行政の共同プロジェクトが出来上がりました。松田氏曰く、初めは市民が不安を抱くのではないかと考えていましたが、予想に反し高齢者の方ほど『もっとやってくれ』と応援していただけたそうです。群馬大学の小木津准教授は、大規模な試験路と多くの自動運転車両を持っていて、日本各地で自動運転バスの実証実験を行い、実績を上げていました。また現在は、最先端の5Gの技術革新、AI技術の進歩などにより、バスのカメラでとらえられる情報が50mから100mと飛躍的に向上し、他車との衝突が予想された場合はAIが0.4秒でブレーキを制動できることまで実証されています。これは普通の運転手のとっさの反応時間の約半分の俊敏さです。運航技術では、無人運転が可能なレベル4に届いているそうです。
日本は道が狭くて歩行者も歩く、飛び出しなども起こりやすい。町中は、自転車も走れば、路上駐車も多い。自動運転の安全確保に係る要素が他国に比べて圧倒的に多いのです。それでも、そのような複雑な町中を、スムーズに安全に走り抜けていくバスの実現も目の前です。日本で初めて緑ナンバーの営業自動運転バスが走る、前橋市に注目しましょう。
きっと、日本の町中を走らせる細かい技術は、諸外国にとっても、十分役立つレベルの技術です。諸外国への手助けになると私は確信しています。世界は新しい動きにあふれています。皆さんも、時代を牽引する情報をしっかりキャッチして、自分の進路や志を創り上げて下さい。
2学期、オンラインの授業配信の時間も多くありますが、自分自身で積極的な学習習慣を身につけてください。皆さんなら出来るはずです。2学期も先生方と一緒に、逞しくしなやかに成長して下さい。頑張りましょう。
西武学園文理中学・高等学校
校長 柴田 誠