5月26日(木)、中間考査最終日。その終了を待って、本校サイエンスホールにて卒業生による講演会が行われた。登壇して下さったのは、長澤美絵さん(高校21期生)。ウクライナの「キエフ・クラシック・バレエ」に所属し、プリンシパルとしてバレエ団を率いている。ロシアによる軍事侵攻が始まる直前、2月13日に家族とともに来日。避難生活を送っている。
そんな彼女が、後輩たちを前に「ウクライナと私」と題し、1時間近く思いを語ってくれた。バレエを始めたきっかけ、ロシアのバレエアカデミーへの憧れと厳しい練習の日々、キエフ・クラシック・バレエとの出会い、そして今、ウクライナに馳せる思い。
強い気持ちをもって高い壁を乗り越えようと挑戦する心。
自分とは異なる人々ともコミュニケーションをとる勇気。
そして、いつ何が起こるか分からないからこそ、自分の心に正直に生きることの大切さ。
会場に集まった100人を超える中高生からは、「ロシアに対して、どんな気持ちを抱いているか」との質問もあった。
――ロシアは、自分のバレエの基礎を養った場所であり、多くの先生や友人が暮らしています。とても悲しくて、複雑な心境です。
長澤さんにとっては、ウクライナもロシアも、自分がそこで暮らし、人々と交わり、大好きなバレエでつながっている大切な国。両国の争いによって、長澤さんの心もまた引き裂かれている。「(両国の緊張関係が)一刻一秒でも早く終わってほしい」と訴える長澤さんの言葉に在校生たちも真剣に耳を傾けていた。ウクライナで、そしてロシアで、長澤さんが華麗に舞い踊る日が一日も早く訪れることを心からお祈りしたい。
※長澤さんは、6月4日(土)、狭山市民会館で開催される「ウクライナ人道支援チャリティー公演~文化と平和~」(NPO法人ふぁいぶる狭山スポーツクラブ主催)にも出演する。会場では、本校の生徒がデザインしたTシャツも販売される。